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絞首台に架かるオオロラ

on a Vacance by " Mimosa / Becrux " for the Queen of Melancolia : brought to you by Arima Writing Ghost

【Recipe004】タットリタン

書く亡霊・アリマライティングゴーストがお送りする、キューピー2〜3時間クッキング。
今日は韓国の代表的な家庭料理、タットリタンをこさえます。

鶏と野菜の煮込みですね。味付けのベースはコチジャン
唐辛子もたっぷりぶつけて、アヒアヒしながら白米を掻っ込みましょう

 

【タットリタン】

・骨つき鶏もも肉(260g相当) 5本
・水 1500ml
・生姜(スライス) 2枚
・長ねぎの青い部分  1本分
・日本酒 100ml

〔A〕
コチジャン 120g
・きび砂糖 大2
・大蒜 15片(すりおろし)
濃口醤油 120ml
・韓国産割唐辛子 大6
・胡麻油 大2

・さつま芋 1本(800g相当)
・人参 1本(200g相当)
・玉ねぎ 1個(300g相当)

・長ねぎ 2本

・万能ねぎ 適量
・炒りごま 適量

 

①水、生姜、長ねぎの青い部分を鍋に突っ込んで、強火にかけ、沸かす 

②その間に、熱したフライパンに油を渡し、鶏もも肉を焼く

皮目にしっかりと焼き色をつけて、沸騰した①に投入
フライパンに日本酒を入れ、火にかけながらヘラで鍋肌に張り付いた旨味をこそげ落とし、日本酒のアルコールが飛んだら鍋に流し混ぜ、そのまま15分、中火で煮込む

③合わせておいた〔A〕を入れ、更に20分煮込み、鶏もも肉を一旦、取り出す

④さつま芋(皮付きのまま2cm角)、人参(皮を剥いて1.5cm角)、玉ねぎ(大きめのくし切り)を鍋に投入、13分、中火で煮込む

⑤味を一回確認して、生姜、長ねぎの青い部分を鍋の中より搜索、取り除く。

⑥長ねぎの白い部分(斜め1cm幅にスライス)と鶏肉を戻して一煮立ちして完成。
好みで万能ねぎと炒りごまを振る

 

***

 

韓国料理や中華料理は、おそろしい。

 

炒め物にしても煮物にしても、調味料はすでにボウルに計量して合わせておいて、それを流し込むというスタイルだからだ。
そのくせ、材料のトータル重量や水の量など、極めてアバウトに書いてあるレシピが多い。「さつま芋1本」と云われても、モノの大小で500gくらいの大きさの開きがある。
しかしそんなことはレシピには大抵記されてない。あなたが鍋に落とすのはこちらの1本500gのさつま芋か、それともこちらの1本1kgのさつま芋か。煮物の女神にそう問われ、煮えたぎる鍋の前でわたしは凍りつく。

「肉全体がかぶるくらいの水」と云われた時も戦慄した。そんなん、鍋の面積に対する肉の量でいくらでも変わるやんけ。五右衛門風呂に入る曙と、スウィートルームのダダ広いジャグジーバスに浸かる曙、両者のイメージが去来。どちらの風呂にも「バブは1個!」と云われ、途方に暮れた記憶よ。

 

ええいままよ と、清水の舞台から飛び降りる心持ちで毎回毎回、調味料を流し込んでいるのもどうかと思った。
煮物の場合は、味が濃ければ最悪 水を足せばリカバーできるが、これがたとえば炒め物で、中華鍋に回しかけた調味料の塩分が基準値の2倍でしたなんてことになったとして、レシピの書き手を証人喚問できるわけもない。水と片栗粉を足して餡にするか、一緒に食べるご飯の量を2倍に持ってゆく。どちらも涙を誘う。

 

でも 大抵のレシピはそんな心配はおくびにも出さない。
「簡単」「お手軽」みたいな文言から始まる料理本の許せないところはそこだ。

その辺の塩梅だって、レシピの執筆者は豊富な経験値でカバーして絶妙な落とし所に持ってゆけている、そういうところに対する自覚が足りない。もしくは分かっていながらあざとくそれを隠したりする。料理なんてそんなに簡単じゃねえんだよ、舐めんな。

 

とにかく、このあたり、韓国料理、中華料理では顕著に厄介です。

もうね、結局作ってみるしかないんだ。ローマは1日にして成らず。

 

上のレシピも、元はネットから引っ張りつつ作ってみたものだが、分量などは3度の試行錯誤の末、かなり変えている。最初は引っ張ってきたレシピに忠実に作り始めたが、野菜を入れた時点で鍋のスープの量が足らなすぎるという事案が発生。どうみても素材のお尻くらいまでしか浸かっていない。俺はヒヤシンスでも育てているのだろうか。やばいこのままじゃ発芽する上が発芽する と、散々なタットリタンデビュー戦となったことを思い出した。

今はとりあえず、上のレシピでひと段落。もう少し美味しくする調味料の組み合わせもあるだろうけれど、とりあえず次回作るとしても同じレシピで、これをさらに美味しく調理できるよう頑張っていきたい。

 

ポイントは以下

・鶏肉は骨つきのものを使う。煮込み料理に骨は必需。国民一人ひとりが髄から出汁をしっかり出してやれば、顆粒コンソメと戦争のない時代は必ず訪れます。

・骨つきもも肉は一度フライパンで皮目をしっかりと焼き付ける。焼きによって生じるアタリは旨味。自分は鶏皮のブヨブヨも嫌いなので、焼いて食感を変えるという意味もあります。その際に、せっかくの旨味が鍋肌にこびり付いてしまうので、酒などでこれを洗って煮込みに加える。この両者はセットでやってあげてください。用語としてはリソレ・デグラッセと云われるものです。云いこなして得意になりましょう。

 

このレシピだと、コチジャンとさつま芋と砂糖で甘みは十分すぎるほど出るので、長ねぎは煮込み過ぎないようにして青臭さと刺激を残してあげます。それに韓国唐辛子の辛味をしっかりと併せて甘みと戦わせ、互角に運んでゆくイメージです。

 

とかく料理はややこしくて複雑です。
それを「義務としてやらなきゃいけない家事」というポジションに据えると毎日の営みが本当に辛いので、趣味として楽しめるようにしておいた方が、僕はいいと思います。
簡単に語るようなことはしたくない。